2017 AUTOBACS SUPER GT Round2
「FUJI GT 500km RACE」 REPORT
■ 2017 SUPER GT 第2戦 参加に際して
今期全メーカーの車両が新車となったGT500クラスで、開幕戦では少し低迷の様子に見えてしまったNISSAN GT-R NISMO GT500であったが、開幕の岡山大会を終えてからすべての時間を費やし出来る限りの改良を施して#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは富士へと搬送された。本年度から富士パッケージというのは撤回され、シーズンを通して同じパッケージで戦わなければならないレギュレーションに、富士特有の高速バトルは岡山同様のパッケージでいかにセッティングを合わせるかがポイントとされる。そしてシーズンを通して2番目に長い距離となるこの第2戦の500kmのレースでは、ドライバー交代を伴うピット作業が2回義務付けとなり、1名のドライバーの最少周回数は37周という特別規則となっていて、岡山大会では残念ながらレース途中でリタイヤとなってしまった#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rにとっては、何が起こるか予測不能のレース距離と、通常より多く行われるピット作業をチャンスと捉え、チームスタッフの認識は統一していた。そして子供の日を目前としたこの日、鯉のぼりが施された翼端板を装着した#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは多くのお客様の視線を集めていた。
■5月3日(水)公式練習 9:00-10:25(混走)10:35-10:45(GT500) 入場者数:34,100人
天候:晴れ コース:ドライ 気温:14℃ 路温:21℃
ゴールデンウイーク中の5連休の初日、青空に包まれた富士スピードウエイには、時折心地よい風もあり、まさに行楽日和であった。前夜からすでに多くのお客様に足を運んでいただき、公式練習開始の頃には多くのお客様で場内は賑わいを見せていた。
9時の開始と共にコースインした#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのドライバーは本山。1周でピットに戻ると各部入念にチェックされ、マシンに問題がない事が確認されると、その後モニターで他車の走行ラップタイムを見ながらピット内にて待機する。開始から約10分後にコースコンディションがさほど悪くない事を確認すると再びコースイン、バランス確認へと入った。タイムは1分30秒316。ピットに戻った#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山は、車両セットをアジャストしながらタイヤの比較など、予定していたテストメニューをこなし、開始から約1時間のところで千代にドライバーを交代して中古タイヤの状況で車両バランスの確認に入った。千代が1分30秒541までタイムを上げた時、ストレートエンドでGT300車両がクラッシュ、コース上にストップした車両回収のために赤旗が提示され、一旦セッションは中断に。この赤旗によって混走の時間帯は終了となってしまった。
赤旗による中断は10時25分に解除となり、GT300専有時間帯からセッションの再開となり、10時35分から10分間のGT500専有時間帯の開始となった。このGT500専有時間帯の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのドライバーは千代。千代はこの10分間のGT500専有時間帯で、予選に向けたNEWタイヤでのアタックを行う予定となっていた。ゆっくりとタイヤに熱を加えるところから予選のシミュレーションは行われ、計測4周目にまずは1分30秒112とこの日のベストタイムをマークすると、続けて翌周のアタックでは1分29秒171と大きくタイムを更新してこの公式練習の終了を迎えた。
公式練習の結果は、#38 ZENT CERUMO LC500が1分28秒691でトップ。2番手には#6 WAKO’S 4CR LC500で1分28秒712とLEXUS LC500+ブリヂストンタイヤ勢が好調を見せる中、1分29秒171の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは3番手に入り、前大会とは違うNISSAN GT-R勢の上位進出に期待が高まった。
■5月3日(水)公式予選 ノックアウト方式 ・15:00-15:15(Q1) ・15:45-15:57(Q2)
天候:曇り コース:ドライ 気温:18℃ 路温:27℃
このQ1での上位8台のみがQ2に進出でき、8台での争いの中からポールポジションが決定する。GT500全車によるQ1での#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのアタッカーは千代。朝からの好天に変わりはないながら、暑くなるほどには気温は上がらず、午後からは雲が多く感じられる空模様であった。Q1開始となってからもピットに待機していた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代も開始から約7分が経過したあたりから周りの車両の動きに合わせてピットアウト。
入念にタイヤ、ブレーキに熱を入れながら間合いを測る#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、計測3周目で1分28秒904とこの日のベストタイムをマーク。しかし、この時点で千代は車両に若干のトラブルを感じていた。チームと無線で相談しながらその状態のまま続けてアタックを行う事に決定、計測4周目も渾身のアタックを続けた。タイムは1分28秒836とこの日のベストタイムを更に更新したところでGT500クラスのQ1終了となった。
Q1の結果は、1秒以内に12台が入り込む僅差での争いの中、#36 au TOM’S LC500が1分28秒056でトップ、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの1分28秒836は惜しくも11番手となりQ1敗退となった。Q2進出のボーダータイムまで0.185秒とあとわずかであったが為に、若干のトラブルによってアタックラップに#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのパフォーマンスが出し切れなかった事が非常に悔やまれる結果となった。
Q2にはLEXUS LC500が6台、NISSAN GT-Rが1台、HONDA NSXが1台進出と、岡山大会同様にLEXUS LC500勢が優勢かと思われたQ1の結果であったが、後に行われたQ2では、#38 ZENT CERUMO LC500が1分27秒825でポールポジションを獲得し、唯一NISSAN GT-R勢でQ2進出を果たした#23 MOTUL AUTECH GT-Rが1分28秒168で2番手に入り、LEXUS LC500勢に割って入る結果となった。唯一HONDA NSX勢でQ2に進出した#8 ARTA NSX-GTは1分29秒088の8番手で、これがHONDA NSX勢最上位という結果となった。
■5月4日(木)決勝レース 14:15- 110LAP 入場者数:58,000人
天候:晴れ コース:ドライ 気温:19℃ 路温:29℃
ゴールデンウイークを通して好天に恵まれた富士スピードウエイは、決勝日も朝から青空と心地よい風に包まれ、朝早くから多くのお客様で場内は埋め尽くされていた。シリーズで2番目に長い距離となるFUJI GT 500km RACEでは周回数は110周、時間にして3時間超えと、通常よりも過酷さを増す。よって、2回のドライバー交代を伴う2回のピットストップが義務付けられていた。レースに向けての最終調整の場となる20分間のウオームアップ走行の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは本山と千代の両ドライバーによってレースに向けての確認が行われ、昨日とは若干であるが、路温の変化とマシンのバランスの合わせこみをスタートギリギリまで調整していた。
#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのスタートドライバーは千代。よって2回のピットストップによって千代-本山-千代と繋いで110周を戦う作戦となる。14時10分、静岡県警車両の先導によってパレードラップが開始となり、1周回後フォーメーションラップへと入る。各車両左右に大きく揺すりながらタイヤを温め、長いホームストレートに戻ってくると、綺麗に2列の隊列に整えられ、スタンドのボルテージは最高潮に達する。そしてシグナルがグリーンに変わった瞬間、SUPER GT 第2戦 FUJI GT 500km RACEのスタートとなった。
各車混乱なくクリーンなスタートとなった中、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、11番手から早くも1コーナーで1台をパスして10番手に浮上、ポイント圏内へと入った。その後さらに前をうかがう#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、8番手の#19 WedsSport ADVAN LC500、9番手#8 ARTA NSX-GTと1分31秒台のラップタイムで離れることなくバトルを繰り返す。10周目、前に離される事はなく、しかしかわす事が出来ずにいた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの背後に#12 カルソニック IMPUL GT-Rが迫ると、前とのバトルの隙を突かれ、かわされてしまいポジションは11番手にダウン。しかし、8番手争いの隊列が崩れたわけではなく4台の隊列でレースは進められた。
14周目、GT300車両がストレートで突如スローダウンしてしまい、そのままストレートエンドのコース脇にストップ、これによりストレートエンドの区間は黄旗が提示され、追い越し禁止区間となった。しかし、この同じ時、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rと#12 カルソニック IMPUL GT-Rは並んで1コーナーに進入、1コーナーの立ち上がりで#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rが前に出てポジションを再び10番手に戻すが、後にこれが追い越し禁止区間での追い越しと判定され#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rにドライブスルーペナルティが下されてしまう。
25周目、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は長い富士のピットロードを通過して、下されたペナルティを消化、これで順位は14番手と大きくポジションダウンしてしまう。しかし、まだ残り95周と先は長い、諦めることなく冷静に作戦を練り直す。ペナルティ消化後の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代のラップタイムは落ち込みも少なく、悪くない為、この最初のスティントは、燃料いっぱい走らせる事に。更に路温と路面状況の変化を考え、次の本山のスティントには違うタイヤを準備する作戦をとった。
他車よりは遅めとなる37周目に作戦通り#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代をピットに戻し、タイヤ4本交換、フル給油、そしてドライバーは本山へと交代して素早くピットアウト、ポジションは13番手でのコース復帰であった。タイヤも温まり、1分32秒台で順調に走行を重ねる#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山は、45周目にトラブルを抱えた車両が1台緊急ピットインをした事により、ポジションを12番手とし、少しラップタイムが落ちてきている10番手の#19 WedsSport ADVAN LC500と11番手の#24 フォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rの2台のヨコハマタイヤ勢との差約35秒を縮めに入りたいところであった。
ジワジワとその差は縮める事が出来てはいるが、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山からは、チョイスしたタイヤのフィーリングは良くないと連絡が入る。ラップタイムも1分33秒台から上げる事が出来ずにいる状況に、この第2スティントは最少周回数の37周でピットに戻し、最終スティントに使用するタイヤはこれとは違うタイヤにする事に決定。
そしてその作戦通りに74周目に#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山をピットに戻すと、タイヤを4本交換、給油、ドライバーは再び千代に交代されピットアウト、残りチェッカーまでを千代に託された。ポジションは12番手、11番手の#19 WedsSport ADVAN LC500との差は約33秒であったが、タイヤに熱が入った#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代はラップタイムを1分32秒台から31秒台へと上げ、83周目にはその差を約30秒、91周目には25秒、97周目には22秒と着実に縮め、見えない相手との戦いは続けられた。104周目、#24 フォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rにペナルティが課せられ、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは10番手と14秒差の11番手に。106周目、1分31秒台の猛プッシュで10番手との差を11秒にまで縮める#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は最後の力を振り絞り、なんとかポイント圏内に食い込ませたい一心で前を追う。しかし、109周時点でトップから1周遅れ、10番手とは8秒差のところで#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは長きFUJI GT 500km RACEのチェッカーを受けた。
SUPER GT第2戦“FUJI GT 500km RACE”の結果は、ポールポジションからスタートして、レース中一度もその座を譲る事無く#38 ZENT CERUMO LC500がポール・トゥ・ウインで優勝、立川にとってはGT500通算最多勝タイ記録となる18勝目となった。2番手には開幕戦でも2番手を獲得した#6 WAKO’S 4CR LC500がこの第2戦でも2番手を獲得、7番手スタートからの追い上げを見せた#37 KeePer TOM’S LC500が3番手に入り、この第2戦富士大会でもLEXUS LC500勢が表彰台を独占する結果となった。
2番手グリッドからスタートを切った#23 MOTUL AUTECH GT-Rが4番手フィニッシュでNISSAN GT-R勢の最上位、HONDA NSX勢は#100 RAYBRIG NSX-GTの6番手が最上位という結果となった。11番手からのスタートとなった#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは開幕戦に続き、この第2戦でもチームポイントこそ2pt獲得はしたものの、ドライバーズポイントは獲得する事が出来ずに2戦連続ノーポイントに。しかし、ライバル勢に比べ、ウエイト、燃料リストリクター径の調整などを受けずに戦える状況は、次戦九州大会では確実に我々にとって有利に働く事は間違いなく、シーズン残り6戦での巻き返しを計りたい。
■FUJI GT 500km RACE GT500 RESULT
■2017 Driver Ranking GT500
■2017 Team Ranking GT500
本山 哲 選手 コメント
マシンには当然まだ詰めなければならない部分はありながらも、トータルパフォーマンスは上がっていると思っていましたし、タイヤもコンディションに合っていると感じていたので、11位という予選の結果に対しては、レースでしっかり走る事ができれば、かなり順位は上げられると思っていました。しかし、レースでは路温が高くなったせいか、第1スティントのペースが良くなかったので、僕の担当する第2スティントでは違う種類のタイヤに変更したのですが、結果的にはそのタイヤもその時のコンディションには合わなかったようです。また、序盤にペナルティにてラップダウンとなってしまったことで、車郡に揉まれる中となってしまい、順位を回復する事は難しくなってしまいました。着実にマシンのポテンシャルは上がっている事は確認できたのですが、予選、決勝を通して幾つかのミスがあったのも事実なので、次戦までにきちんと修正してマシンの性能を結果に結び付けられるようにチーム一丸となってベストを尽くします。
千代 勝正 選手 コメント
練習走行でセットアップを進めていった結果、かなりマシンも乗りやすくなった感覚があり、練習走行最後に行った予選シミュレーションでもいいタイムを出す事ができていたので、予選に向けては自信を持って臨んだのですが、11位に終わってしまい、もったいない結果となってしまいました。しかし開幕戦に比べてマシンは進歩していますし、500kmと長いレースなので、しっかり追い上げて少しでも多くのポイントを獲得するつもりでいたのですが、決勝でもペナルティを受けて結果としては何ひとつ満足できるものはありませんでした。しかし長い500kmレースを完走したことで、ドライビングの面でも様々なトライをする事ができ、タイヤ、マシン、共に次につながるデータも沢山得られました。その点では非常に実り多いレースになったと思います。これを活かしてマシンも、ドライビングも更に進化させて次戦以降は上位勢としっかり勝負したいと思います。
大駅 俊臣 監督 コメント
Rd1から車両ポテンシャルがアップしていることはFree 走行から実感はありました。予選に向けてのNew タイヤシミュレーションでは3番手のタイムをマークしていただけにトラブルにより予選P11に沈んでしまったことは非常に悔しい結果でした。また決勝レースでは序盤にペナルティを受けて早い段階で周回遅れとなってしまい、週末を通して思うようなRACE をすることができないまま終了してしまいました。車両の完成度はまだまだですが、ポイントが取れるレースであったことは明らかでしたので、悔しいの一言です。車両ポテンシャルは確実に戻りつつあります。今回の問題点をしっかり修正し、車両のポテンシャルをしっかり引き出せるよう準備してまいります。次戦Rd3 オートポリスはチーム一丸となって Point 獲得をめざし頑張ります。今後とも応援の程よろしくお願いいたします。