2017 AUTOBACS SUPER GT Round8
「MOTEGI GT GRAND FINAL」REPORT
■ 2017 SUPER GT 第8戦 参加に際して
茂木大会での搭載ハンディウエイトは、前戦までのハンディウエイトが撤回されて0kg。ThailandにあるChang INTERNATIONAL CIRCUITから約3週間かけて戻ってきた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、残された1週間で急ピッチにメンテナンスされ、最終戦茂木へと向かった。
最終戦茂木大会はシリーズ最短の250kmで争われる事から、戦略も色々と考えられる。そして、シリーズチャンピオンの権利こそ失ってしまった#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rではあるが、今期未だ勝利のないNISSAN GT-R、そして我々#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rにとってもなんとか1勝をもたらしたいところであった。
シリーズチャンピオンの行方も、NISSAN GT-R勢で唯一可能性のある#23 MOTUL AUTECH GT-Rの事を考えて、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rとしては、他メーカーチームに高得点を取らせない為に最低でも2位表彰台以上を獲得しなければならない。その為NISSAN GT-R陣営としても一致団結し、我々もこの最終戦を最高の結果で終われるよう、長いインターバル中に作戦面を含めミーティングを重ね、チーム全員で最善を尽くせる準備を整えてこの最終戦に臨んだ。
■11月11日(土)公式練習 8:45-10:10(混走)10:20-10:30(GT500) 入場者数:19,500人
天候:晴れ コース:ドライ 気温:10℃ 路温:12℃
2017シーズンも、いよいよ迎えた最終戦とあって、朝から多くのお客様で賑わいを見せるツインリンクもてぎの予選日の朝。天候こそ晴れではあったが、冷たい風が吹き注ぎ、気温も10℃と冷え込みを感じさせる。そして、公式練習開始の頃には上空が雲に覆われ、雨がポツポツと落ちてきた。しかし、雨はコースを濡らすほどには至らず、その後回復して日差しが戻ってくる空模様であった。
#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの公式練習は本山から。マシン、路面の確認を行うと、まずは1セット目のタイヤでマシンセットの確認へと入った。路面とタイヤ、マシン共にマッチングが悪い状況に、タイムは1分40秒055止まりとなった。マシンセットにアジャストを加えながらも2セット目のタイヤでも1分40秒137とタイムが出ない。
限られた時間の中で2セットのタイヤ比較を終え、開始から約1時間経ったところで、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのドライバーを千代に交代し、燃料を多く搭載してレースを見据えた確認へと入った。ここでも更に、マシンセットにアジャストを加えながら、タイムを1分39秒810へと更新。予定通りのテスト内容をこなして公式練習の終了を迎えた。
10時20分からのGT500専有走行時間帯のドライバーは千代。インターバルで更にマシンにアジャストを加え、ニュータイヤを装着してアタックに向かう。計測3周目に1分38秒418とこの日のベストタイムをマークし、続けて計測4周目もアタック。しかしタイムアップする事は出来ずに専有走行時間帯を終えた。
公式練習の結果は、#37 KeePer TOM’S LC500が1分37秒530でトップ。2番手には、1分37秒837で#100 RAYBRIG NSX-GT。3番手には、1分37秒864で#36 au TOM’S LC500という結果となった。#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、専有走行時間帯で記録した1分38秒418で13番手。タイム差は僅差であったが、アタックのマシンフィーリングには改善が必要な状況となってしまった。
■11月11日(土)公式予選 ノックアウト方式 ・14:20-14:35(Q1)
天候:晴れ コース:ドライ 気温:17℃ 路温:23℃
公式練習を終え、この公式予選Q1までのインターバルで公式練習での良くなかった部分を洗い出し、マシンセッティングを大きく変更した#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R。
14時20分から15分間で行われるQ1のアタッカーは千代。#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は残り約8分となったところでピットアウトすると、前後との間合いを取りながらアタックに入る。計測2周目からアタックの予定であったが、タイヤがまだ温まりきっていないと判断した千代は、残り時間からラスト1周となる計測3周目に全てを賭けた。そして、アタックに入った計測3周目のタイムは1分37秒224とトップタイムをマークしてチェッカーを受けた。
Q1の結果は、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rが最終ラップにマークした1分37秒224でQ1をトップ通過。2番手には、1分37秒345で#23 MOTUL AUTECH GT-R。3番手には、1分37秒359の#36 au TOM’S LC500という結果となった。
■11月11日(土)公式予選 ノックアウト方式 ・15:05-15:17(Q2)
天候:曇り コース:ドライ 気温:17℃ 路温:20℃
15時5分からNISSAN GT-Rの3台、LEXUS LC500の3台、Honda NSX-GTの2台、計8台によって行われたポールポジション争い。
Q1を見事にトップタイムで通過した#46 S Road CRAFTSPORTS GT-RのQ2アタッカーは本山。こちらも開始から約4分が経過した残り8分程のタイミングでコースイン。ゆっくりとタイヤ、ブレーキに熱を入れ、Q1同様に残り時間からラスト1周となる計測3周目にアタックへと入った。タイムは1分37秒530で、同時にチェッカーを受け、Q1タイムを上回る事は出来ずに公式予選の終了となった。
MOTEGI GT GRAND FINALの予選結果は、最終周に1分36秒316と2番手タイムと0.9秒差のスーパーアタックを見せた#23 MOTUL AUTECH GT-Rがコースレコードを樹立して今期初となるポールポジションを獲得し、1ptを加算した。2番手には、1分37秒207で#6 WAKO’S 4CR LC500。3番手には、1分37秒366で現時点でのシリーズランキングトップの#37 KeePer TOM’S LC500という結果となった。1分37秒530の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、 4番手となり、今季初優勝に向けてまずまずの位置に付けた。
■11月12日(日)決勝レース 13:35- 53LAP(最大延長15:30) 入場者数:36,000人
天候:晴れ コース:ドライ 気温:16℃ 路温:23℃
いよいよシリーズの最終戦、SUPER GT第8戦MOTEGI GT GRAND FINALの決勝日を迎えた。寒さを感じながらも、太陽の陽を浴びる晴天での決勝日。昨日の公式予選で4番手グリッドを獲得した#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのスタートドライバーは千代。15時30分から開始となった1周回のパレードラップでは、ドイツツーリングカー選手権よりAUDI、MERCEDES、BMWの3メーカー各1台ずつが来日し、SUPER GT車両を先導しながらパレードを披露した。そして翌周のフォーメーションラップを経て、2列の隊列が整うと、シグナルがグリーンへと変わりMOTEGI GT GRAND FINALのスタートが切られた。
スタートが切られる直前、ポールポジションの#23 MOTUL AUTECH GT-Rに#6 WAKO’S 4CR LC500が追突するハプニングが発生。この為、両車両はダメージを負った状態でスタートを切る形となった。スタート直後から#23 MOTUL AUTECH GT-Rが少し後続を引き離し、手負いの#6 WAKO’S 4CR LC500のペースが上がらず、3番手#37 KeePer TOM’S LC500と4番手#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの3台による壮絶な2番手争いが早くも行われた。
NISSAN GT-R陣営としても#23 MOTUL AUTECH GT-Rがトップを走行している状況に#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rが2番手に上がれば望ましいフォーメーションになる。
果敢に攻め立てる#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代であったが、LUXUS LC500陣営もそこは執拗にブロックを重ねてくる。その隙に、5番手にポジションを上げてきた#36 au TOM’S LC500がその差を詰めてくると、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、LEXUS陣営に固められてしまい身動きが取れない状態に。
そして4周目、3番手の#37 KeePer TOM’S LC500を先に行かせた#6 WAKO’S 4CR LC500は、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代を執拗にブロックすると、その間に5番手の#36 au TOM’S LC500に先行されてしまい、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは5番手にポジションを落としてしまう。 #6 WAKO’S 4CR LC500は、4番手に上がった#36 au TOM’S LC500も先に行かせ、5番手の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rをひたすらブロック。千代も何とか前に出たいところであったが、まだレース序盤に無理は出来ずにいた。
6周目、ようやく#6 WAKO’S 4CR LC500をかわす事に成功した#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、4番手に浮上。翌7周目には、3番手を走行していた#36 au TOM’S LC500がトラブルによって戦線離脱し、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは3番手にポジションアップ。しかし、序盤の執拗なブロックに遭っていた間に前方との差を広げられてしまい、この時点で前2番手との差は約8秒にまで広げられてしまっていた。
そしてこの頃からタイミング悪くGT300のトラフィックに引っ掛かってしまい、12周目、ようやくGT300のトラフィックから抜け出せた時には2番手との差は約15秒にまで開いてしまっていた。この最終戦はシリーズ最短となる250kmレースともあって、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rはタイヤを替えない作戦を視野に入れていた。その為、千代はタイヤをマネージメントしながらも1分41秒台でラップを重ね、後続4番手の#38 ZENT CERUMO LC500との差を広げていく。
ドライバーミニマムラップを超えた19周目、2番手#37 KeePer TOM’S LC500との差を約12秒にまで縮め、後続4番手#38 ZENT CERUMO LC500との差は約2.5秒に広げていた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代は、今のタイヤで最後まで行けるかの判断に悩まされていた。チームとしては、タイヤ無交換作戦で行きたいところではあったが、千代のフィーリングとしては、この段階では判断が難しいと伝えられた。これを受けたチームは、タイヤをマネージメントしながらこのスティントの周回を延ばしてタイヤの状況を判断しようと千代に伝えた。
23周目の時点で、下位の1台以外のGT500車両はすでにピット作業を終えていた。チームの焦点はタイヤの状況であり、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R千代にすべての判断が委ねられた。千代が出した答えは、無交換は難しい状況との事。チームは千代の言葉を信じ、作戦をタイヤ4本交換に切り替え、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代には、この先のタイヤマネージメントは不要、ピットタイミングまでフルプッシュするように指示が出された。
そして27周目、ピットに呼び戻された#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは給油、タイヤ4本交換、そしてドライバーを本山に交代してすぐさまピットアウト。ピットタイミングを遅らせた事が仇となってしまい、6番手でコースに戻った#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山であった。
ピットアウトしてタイヤに熱が入った30周目には1分40秒台とハイペースで前を追い上げる#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山。 3番手#38 ZENT CERUMO LC500までは約15秒、4番手争いを繰り広げている#100 RAYBRIG NSX-GTと#17 KEIHIN NSX-GTまでは約8秒という差を縮めに入る。後続7番手以降との差は全く問題ないほどの差を広げ、前だけを見つめて1分41秒台での走行を重ね、37周目には3番手まで約10秒、4番手争いの2台までは約5秒にまで差を縮めていた。
毎周回、残り周回数と前車との差がチームから伝えられ、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山はスピードを緩めることなく追いかけ続ける。そして、残り5周となった48周目、ようやく4番手争いのテールに追いついた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山は、4番手争いに加わり、3台での争いへとなった。間違いなく#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山に、一番速さがある争いではあったが、ストップアンドゴーの多いこのツインリンクもてぎでのオーバーテイクは難しい。
更に、タイミング悪くGT300のトラフィックがやってきてしまう。そのような状況の中、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山は、トラフィックで差が開いてしまってもすぐにその差を詰めてチャンスを窺っていた。そしてチェッカーが振られた時、1秒の中に3台が密集しながらゴールをするも、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは順位を上げる事が出来ないままチェッカーを受けた。
SUPER GT第8戦MOTEGI GT GRAND FINALの結果は、ポールポジションからスタートした#23 MOTUL AUTECH GT-Rが、一度もトップの座を譲ることなく今期初優勝。今期未勝利であったNISSAN GT-Rに唯一となる勝利をもたらした。レース序盤から2番手に上がった後、安定の走りを見せた#37 KeePer TOM’S LC500が2位表彰台を獲得。9番手スタートながらも、ミニマムラップでのピット作業が功を奏した#38 ZENT CERUMO LC500が3位表彰台となった。4番手からスタートした#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは速さを見せながらも、序盤の鉄壁のようなブロックと、狙っていた作戦が遂行出来ずに6番手でレースを終えた。
シリーズチャンピオンの行方は、ランキング2位で迎えた#6 WAKO’S 4CR LC500は、レース序盤での戦線離脱という結果に脱落。トップと8pt差の3位で迎えた#23 MOTUL AUTECH GT-Rが、まずはポールポジションを獲得して、その差が7ptに。そして、この第8戦で優勝を飾り更に20ptを加算するも、ポイントリーダーで迎えた#37 KeePer TOM’S LC500が2位に入った事で15ptを加算してランキングトップの座を守りきり、ドライバーズタイトル、チームタイトル共にシリーズチャンピオン獲得となった。
第8戦を6位で終えた#46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山哲、千代勝正のドライバーズランキングは合計29ptで12位。MOLAのチームランキングは合計46ptで11位という結果で2017 SUPER GTシリーズに幕が降ろされた。 満足のいくシリーズの結果とはいきませんでしたが、ラッキーな展開もあり、ミスもありながらも一年を通じて確実にマシンは速さを身に付け進歩し、そして、随所でその速さを見せる事が出来ました。それだけに悔しい思いも増してしまいます。 今シーズン経験させて頂きました事を糧に、更なる強いチームを目指して参ります。 一年間、多くの応援、ご支援を頂きました全ての方々に感謝申し上げます。 ありがとうございました。
■「MOTEGI GT GRAND FINAL」 GT500 RESULT
■2017 Driver Ranking GT500
■2017 Team Ranking GT500
本山 哲 選手 コメント
公式練習の時点では、セットアップがうまくいっていなかったのですが、予選開始までのインターバルの間、頑張って修正してくれたおかげで従来のスピードを取り戻し、Q2では攻めきれなかった部分がありながらも、セカンドローのポジションにつける事が出来ました。タイヤに関しても良い感触もあったので、レースでは上位を狙えると感じていたのですが、ピットを遅らせたことで結果的に表彰台を逃してしまった事は非常に残念でとても悔しいですが、レース中のパフォーマンスやラップタイムも満足出来るものでした。今シーズンは良い状況にありながらも結果に結び付けられないことが何度もあり、とても悔しいシーズンとなりました。しかし、シーズン中の限られた期間にNISMO、そしてチームも車両の開発を進めてくれてここまで戦える状況になっています。最終戦ではその成果を充分発揮出来たと思います。最後になりましたが、シーズンを通してご支援を頂きました関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
千代勝正 選手 コメント
公式練習ではマシンのバランスが悪く、修正するのに時間を割くことになったのですが、改善は見られずにタイヤのグリップも低い状況でした。インターバルに大幅にセットアップを見直す事になったので、ぶっつけ本番となった予選では正直厳しいと感じながらも必死に攻めた結果、トップタイムだったのには驚きました。セッティングの改善と路面とタイヤのマッチングが良かった相乗効果もあったと思います。レースは4番手からスタートして、ペースも良く、序盤は見せ場があったものの、執拗なブロックに遭い、攻略に時間がかかってしまい、トップ2台にギャップを築かれてしまったのは残念でした。開幕戦から前半はスピードに苦しみ、その後も不運があり、自分自身の反省点も多かった今シーズンでしたが、この最終戦ではクルマのパフォーマンスが上がったことを証明する事が出来たと思います。ニッサン、ニスモ、ミシュランをはじめ、今シーズン沢山の応援、ご支援を頂きました皆様、ありがとうございました。
大駅 俊臣 監督 コメント
FP-1ではコースコンディションとタイヤのマッチングが合わず苦労しましたが、予選では良いパフォーマンスを見せることができました。NISSAN勢としては是が非でも #37の前で予選通過をしたかったのですが、残念ながら#37の後方4番手のスタートとなってしまいました。
決勝レースでも#37の前でのレース展開が出来なかったことが敗因で、結果的にも予選ポジションを下げて6位フィニッシュとなってしまい、残念な結果で終えてしまいました。
シーズンスタート当初は、パフォーマンスの低さに苦労しましたが、NISSAN、NISMO、MICHELINタイヤの開発努力の結果、素晴らしい戦闘力を得たことは非常に感謝しています。またチームとしては随所に速さを見せることは出来たのですが、結果に結びつかない厳しいレースが続き悔しさの残るシーズンとなってしまいました。
今シーズンも皆様の多大なるご支援を頂けたこと、感謝の念に堪えません。心より御礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。